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レッスン 10

FM 合成:2 つのサイン波からレシピを作る

2 つのサイン波と 2 つの数字。RATIO がどの倍音が存在しうるかを決め、モジュレーションインデックスがそのうち何本にエネルギーが乗るかを決めます。

ここまでのレッスンはどれも、豊かな波形から出発して何かを取り除いてきました。FM は逆です。最も空っぽな音である 2 つのサイン波から始めて、そこに倍音を入れます。片方のサイン波がキャリアで、あなたが聴くノートです。もう片方がモジュレーターで、その出力はスピーカーには決して届きません。代わりにキャリアの周波数へ配線され、その周波数を毎秒何百回も上下に押します。レッスン 6 がすでにこの境界線を引いていました。オシレーターをピッチへ向けたとき、およそ 20 Hz より下ならビブラートです。同じ配線を 440 Hz でやると速すぎて動きとしては聴こえず、代わりにキャリアの周りに新しい周波数の一群が立ち上がります。これがサイドバンドで、新しい音の倍音になります。

MODf = RATIO × 220 HzRATIO 0.25 … 8.00fINDEX 0 … 8Δf = INDEX × fCARRIER220 HzOUT

下のおもちゃが組み立てているパッチのすべてです。破線はモジュレーションで、モジュレーターの出力はキャリアの周波数入力(図中の f)へ入り、オーディオ経路には決して入りません。キャリアは 220 Hz に固定されています。RATIO はモジュレーターの周波数をその倍数として設定し、INDEX はキャリアがどれだけ押されるかを決めます。

サイドバンドが着地する場所

サイドバンドはキャリアの上と下に 1 本ずつ、対で現れ、間隔はモジュレーター周波数の整数倍です。書き下せば c ± k·m、k は 1、2、3 と上がっていきます。おもちゃはキャリアを 220 Hz に固定し、最初の 8 対を琥珀色の目盛りとして描くので、予測はそれが予測している緑のバーのすぐ隣に並びます。RATIO を 2.00 にするとモジュレーターは 440 Hz で回ります。最初の対は 660 Hz と −220 Hz、2 番目は 1100 Hz と −660 Hz です。

この負の数は実在するもので、たいていの説明が飛ばすのがここです。キャリアより下のサイドバンドはゼロを越えて引き算を続け、−220 Hz は 220 Hz として聴こえます。正の軸へ折り返し、すでにそこにあるものの上に重なるのです。おもちゃは目盛りを描くときに折り返してくれますが、それはオーディオのほうも折り返しているからです。RATIO 2.00 のリストを折り返すと、スペクトラムは 220、660、1100、1540、1980、2420、2860、3300 Hz に潰れます。220 Hz の奇数倍、つまりレッスン 2 が矩形波とクラリネットに割り当てた一族で、おもちゃの 2 番目のプリセットがその名前を持っている理由でもあります。

レシオがレシピを選ぶ

2 つの周波数のレシオが、折り返しのあとどの倍数が生き残るかを決め、つまりその音がどの一族に属するかを決めます。1.00 ではモジュレーターがキャリアと同じ 220 Hz になり、サイドバンドはその倍数すべてに着地します。220、440、660、880 と上がっていき、加えて聴こえない 0 Hz の成分もあります。これがノコギリ波の一族で、おもちゃの最初のプリセットです。2.00 では奇数倍だけが生き残ります。3.00 では第 3・6・9・12 倍を除くすべての倍数が残り、細くリードのような、狭いパルスに近い音になります。整数がさらに大きくなると、この組はもっと疎になります。

2.00440 Hz66011003.50770 Hz5509900110022003300 Hz

おもちゃの 220 Hz キャリアを 2 つの RATIO 設定で計算した予測サイドバンドを、220 Hz 倍音列の薄いグリッドの上に置いたものです。2.00 ではすべての印がグリッド線に乗り、櫛は等間隔になります。3.50 では間隔が交互になり、9 本のうち 4 本(550、990、2090、2530 Hz)がちょうど 2 つの倍音の中間に着地します。位置だけを描いており、バーの高さは何も表していません。

整数でないレシオは印を倍音グリッドから外し、耳はそれを音というより打たれた金属として受け取ります。RATIO 3.50 はスライダーが届く範囲でいちばん分かりやすい例です。印はキャリアの 1、2.5、4.5、6、8、9.5、11.5、13、15 倍に着地するので、9 本のうち 4 本が倍音の間に挟まります。ベルやゴングの部分音の並びはこれによく似ていて、FM が 1980 年代にサウンドデザインのこの一角を取ったのもそのためです。スライダーは 0.25 刻みなので、届くレシオはどれも結局スペクトラムを何らかの規則的なグリッドに乗せます。3.50 ならそのグリッドはキャリアの半分、110 Hz です。グリッドから完全に離れるには、下の FINE が要ります。

モジュレーション量は明るさ

RATIO はどの周波数が現れうるかを決めます。モジュレーションインデックスは、そのうち何本が実際にエネルギーを担うかを決めます。モジュレーターがキャリアをどれだけ押すかを決める値で、おもちゃはそのピーク振れ幅をインデックス × モジュレーター周波数に設定しています。クラリネットのプリセット、RATIO 2.00 でインデックス 2 なら、モジュレーターは 440 Hz で回り、キャリアの 220 Hz は左右へ 880 Hz ずつ押されています。インデックス 0 では振れがなく、キャリアはただのサイン波として鳴ります。上げていくとエネルギーがキャリアから取り出されて外へ広がり、目安としてはおよそ「インデックス + 1」対のサイドバンドが意味のある大きさで出てきます。インデックス 1 なら 2 対、4 なら 5 対、8 ならおもちゃが予測する 8 対すべてが埋まります。これは FM 版のフィルターを開く操作であり、こもった FM パッチでまず上げるべきがモジュレーターのレベルである理由でもあります。

プリセット:
スペクトラム + サイドバンド予測

2 つのサイン波、それだけです。琥珀色の目盛りは現在の設定で予測されたサイドバンド位置、緑のバーはアナライザーが読んでいる実際の出力です。まず 2:1 clarinet プリセットから始めて、バーと目盛りを 1 本ずつ突き合わせてください。次にインデックスを 0 にしてゆっくり上げ、中央のバーが縮んで外側が伸びるのを見てください。それから RATIO を 1.00 から 8.00 まで 0.25 刻みで歩かせ、ノートに聴こえる設定とベルに聴こえる設定を耳で仕分けてください。最後は FINE です。

FINE:ベルへの最後の一歩

FINE はレシオが決めた周波数に、さらに最大 20 Hz を 0.5 Hz 刻みで足します。440 Hz に比べれば小さな数ですが、その大きさに見合わない働きをします。RATIO 2.00 では、ある対の上側サイドバンドと次の対の下側サイドバンドが同じ周波数に着地します。あの澄んだ奇数倍音の積み重なりはそこから生まれていました。FINE を 7 Hz 加えると、その一致がそれぞれ 7 Hz ずつ離れます。7 Hz 離れた 2 音は毎秒 7 回うなるので、スペクトラム全体が揺らぎ始めます。FINE を上限の 20 Hz まで持っていくと、うなりは数えられないほど速くなり、ざらつきとして聴こえます。

このオフセットは上へ行くほど積み上がります。k 番目のサイドバンドは FINE の量の k 倍だけずれるので、スペクトラムの上のほうが下よりも大きくグリッドから外れます。これはチューニングノブの働きと分けて考える価値があります。キャリアを動かせばスペクトラム全体が横へ滑り、間隔は保たれます。モジュレーターを動かすと間隔そのものが伸びます。おもちゃが提供するのは後者だけです。キャリアが 220 Hz に固定されているからです。ベルのプリセットは RATIO 3.50 に FINE +7.0 で、モジュレーターは 777 Hz、部分音は 220、557、997、1334、1774 Hz と続きます。どれも 220 Hz のノートの整数倍ではありません。

John Chowning が 1960 年代末のスタンフォードで見つけた方法です。覚えておく価値があるのはその経済性で、2 個のオシレーターが、加算合成なら数十個必要なスペクトラムを作っていました。ハードウェアの FM シンセは 2 個より多く積みます。オペレーターがオペレーターを変調し、その固定された配線をアルゴリズムと呼び、1 個のオペレーターがキャリアとモジュレーターを兼ねることもあります。そうした配線の 1 本 1 本は、このレッスン冒頭の 2 つの箱の図のままです。
お手元のデバイスで

Digitone II の FM TONE マシンは、このレッスンをオペレーター 2 個ではなく 4 個でやったものです。C、A、B(B1 と B2)にグループ分けされ、ALGO が 8 種類の固定配線から 1 つを選びます。C は常にキャリアとして働き、ノートを担うのでレシオはほぼ整数に制限されています。A には意図的に広いレシオのリストが与えられていて、このレッスンがベルに使った非整数の関係へ届きます。各モジュレーターの LEV がそのインデックスで、attack/decay/end のエンベロープを通るので、打鍵されたピアノ弦のように明るさが音の中で動きます。DTUN はオペレーター A と B2 にオフセットを与える、FINE の実験がそのまま住んでいる場所です。64 あたりまでは控えめで、その上では強くデチューンします。表記についての注意がひとつ — マニュアルはレシオを carrier:modulator で印刷するので、このレッスンでいうレシオ 2 はそこでは 1:2 と書かれます。FM DRUM は同じエンジンをオペレーター 3 個とピッチスイープにしたものです。